死の間際に一番最後まで残るのは聴覚だという話を聞いたことがある。愛犬ユキが亡くなった今でも毎日遺影に声をかける。きっと届いていると思う。家族を失った悲しみは時間の経過と共に少しづつ和らいでいくのだろう。それはごく些細な出来事や平凡な日常の思い出を徐々に忘れていくことでもあり、忘れたくない忘れてはいけないと思っている間は悲しみの淵から抜け出せないのだろう。ならば今はいっそ、思い出しては泣いていいのではないか。ユキが生きた証を記録として残しておきたいので、このブログに綴りたいと思う。「きださんちの奥さん」では開設以来十年以上ユキのことを書き続けてきたが、特に彼女が亡くなる前後一ヶ月の間に起こった不思議な出来事について聞いていただきたく暫くお付き合い願いたい。(次回へ続く)