不幸事があり葬儀には参列できないため通夜に弔問した。私は本葬よりも通夜の方がより喪家に寄り添うことができるような気がしている。私の前職は葬祭業。TVドラマ「赤い霊柩車」の大村崑さんと同じ金色の葬祭ディレクター1級の資格を持つ。天職だと思うほど遣り甲斐のある素晴らしい仕事であった。コロナにより葬儀の在り方は大きな転換期を迎えた。家族葬が増え、お悔み欄に逝去の知らせを載せることも少なくなった。人生のうちで喪主を務めることは早々何度もあることではない。わからないことばかりで当たり前である。一連の日程の中では何度もつらいお別れの場面に直面する。出棺時に茶碗を割ることも、斎場で火葬炉のスイッチボタンを押すことも。嵐のように全日程が終わり自宅へ戻って初めて言いようのない悲しみがやってくる。このご家族も桜の季節を迎える度に今日の日と故人を思い出すことだろう。