友人が数多の女性遍歴の末、おねーちゃんと暮らし始めたという。65にもなってよくやるよ、と私は思うのだが男性からは羨ましがられているらしい。「人から見てお前はいいよなーという風に見えるのなら、それは多分いいってことなんだろう」と聞いた時は、主体性の無い如何にも彼らしい言葉だと思ったものである。流されるままの彼の生き様を的確に表している。熱くなって周りが見えなくなっている人にありがちなふたりだけの世界感は、傍から見ると違和感を禁じ得ない。夫は人の生き方に口をはさむべきではないと彼を擁護する。男女での捉え方の違いからなのか夫婦間で意見が分かれ、そのうち彼の話題に触れるのはタブーであるかのような空気に変わっていった。まるで眞子さんの会見の後のように。彼がウチにごはんを食べにやって来ることはもう二度とないのだろう。寂しいのかどうなのかもよく分からない。大切な友人であったのになんとも後味の悪い別れ方になってしまった。